このサイトでは、令和3年(2021年)に当研究所から公開されたフリーソフト、
イラスト作成支援ソフト ぷりスカ(R) について解説します。
私はこの前年から、PCを使ったイラスト作成を趣味にするようになりました。それまでAdobe IllustratorやPhotoShopなどで静物や工業製品関連のイラストを作成したことはありましたが、人物画は未経験でした。そのため、服飾を描こうとしてもデッサンが不正確になり、一目見て下手だと思われる作品しか描けませんでした。
同じ頃、3Dモデリングソフトの「Blender」に興味を持ち、服飾素材を3Dで造形してトレースし、イラストに組み込もうと考えて3Dモデルの作成方法を学びましたが、一つまとまったものを完成させるには大変な時間が掛かるということがわかりました。そこで3Dモデルの造形と2Dへの投影を行うプログラムを自作した方がBlenderの習得よりも速いと考え、非常に簡単な3Dモデリングソフトのサンプルを作り始めました。この動作試験は成功し、2Dに投影した線画をベクター形式(SVG)のファイルとしてイラスト作成ソフトに読み込ませるという機能に特化したソフトとして製品化が可能と判断しました。
プログラムの運用(例)
(1) 人物の下絵を作成し、作成済みのぷりスカ3Dモデルを読み込みます。この例ではスカートに応用しています。
ぷりスカ3Dモデルはユーザーが作成することもできますが、基本的には当研究所が多様なものを作成し、ネットを通じて配信します。ユーザーは好きなキャラクターの服飾をダウンロードするだけです。
(2) 下絵に合うように視点と拡大率を変更します。
読み込んだぷりスカ3Dモデルは変形も可能です。
最後に、SVG形式でスカートの外観を2Dのベクターファイルとしてファイルに保存します。
(3) イラスト作成ソフトでSVG形式のファイルを読み込み、必要に応じて線画の調整を行います。
これで、イラストの技術のない人でも立体的な服飾の線画を短時間かつ正確に作成することができます。
(4) ぷりスカ は衣服だけでなく帽子や靴などにも応用できます。
↑陰線処理とは、3Dモデルの2D投影で面に隠れる線を表示させなくする機能で、上図では高精度に実現されています。この機能を実現する方法は多く発表されていますが、当研究所では精度と処理速度を両立させた技術を独自に開発しました。
今後の開発予定
2023年現在、後継版となるぷりスカ Ver.2の開発を進めています。
開発を終えて後書き
令和2年10月頃よりプログラムの設計を始め、令和3年2月に登録商標名「
ぷりスカ」を出願し、登録完了まで1年掛かるということで開発スケジュールも1年間として計画していました。ところが令和3年の7月には登録が完了してしまい、その後は10月中の前倒し公開と定めて、超ハイペースで作業を行いました。8,9,10月は休日でも家から出ることは無く、会社からの帰宅後も作業に充ててどうにか期限内に公開できました。
オカダ・システムエンジニアリング研究所